元デバッガーによるアンラーニングラボ

人材開発担当になった元SEが、「オレオレ人材開発」から脱却し、人材開発のアレコレを学びほぐしていくブログです。

ラーニングセオリーマップって何だ?

ラーニングセオリーマップって何だ?

前々から気になっていた「まなばナイト」に参加してきました。
http://www.manabanight.com

-----------------------------------------------------------------------
◆まなばナイトとは(引用)
熊本大学大学院 教授システム学専攻(以下GSIS)の同窓会一同で開催する「まなばナイト」は、eラーニングの今と未来を、アカデミックな見地も交えながら一方通行の講演だけでなく、ドリンクとおつまみをつつきながら、参加者皆でワイワイ考える参加型ワークショップです。
-----------------------------------------------------------------------

自分としては「未来」「アカデミック」「ドリンクとおつまみ」「参加型ワークショップ」ってあたりに、ぐっと心をわしづかみされたわけです(笑)

そして、この「熊本大学大学院 教授システム学専攻」ってあたりも興味ある。
よくよく調べてみると、ID(インストラクショナルデザイン)を唯一日本で体型的に学べる大学なのね〜。

そして、この日のテーマは「ラーニングセオリーマップ」。

リチャード・ミルウッドさんというブルネル大学の先生がまとめたもので、
端的に言えば、
「学習にはいろんな理論あっけど、学問と、理論家と、その理論は、
どーいう風につながってんのかよくわかんないから
マップにしてみたぜ!」
って絵です。
http://hotel-project.eu/content/learning-theories-map-richard-millwood

そしてこのGSISのみなさんで、翻訳活動をされているという。
(ほんと、自分みたいに英語のできない人間からするとほんとありがたい・・・)

・・・で、今日はこのラーニングセオリーマップを
懇切丁寧に教えてくれるのかな〜と思ったところ・・・。
そんな受け身で終わるワケがない。(笑)
参加型ワークショップだもんね。
以下本日のまなばナイトまとめ。

-----------------------------------------------------------------------
◆ワークショップの流れ
会場を入ると、食べ物のいい香り。
「ドリンクとおつまみ」がいい感じでお出迎え。
昼食べずに来ればよかった・・・。

紙数枚と、2色のポストイットが配れる。
青いポストイットには「今日の期待」を、
赤いポストイットには「今のお悩み」を書く。
こういうワクワク感は、お祭りみたいでいいね。

先生方の挨拶があり、その後少しまなばナイトや
ラーニングセオリーマップの解説があり、
この後グループを3つに分けました。
IDベーシックグループと、IDアドバンスグループ。
もちろん自分はベーシックグループへ。

そしてグループごとに、出されたケーススタディについて話し合い。
一時間後に発表するというもの。

◆仮装ケーススタディ
・急成長中の回転寿しの企業内人材育成担当として、新人研修の企画をし、模擬シラバスを作る。
・新人は15名で、全員調理師学校卒。でも寿司職人としては半人前。
・1年で1人工、3年で店長を任せたい。
・この回転寿しでは、寿司を手で握る。
事務管理についてマニュアルはあるが、職人教育は店舗任せ。
・職人教育が店舗任せゆえ、育成計画もバラバラ。ある店舗では、半年は掃除と皿洗い、そのあと半年は煮物、焼き物、下ごしらえ、2年目〜握らせる。またある店舗では、雑用と寿司握りを初日から実施させている。しかし、これらの店舗の売り上げに差はなかった。

◆検討ルール
・テーマ、対象者、実施者、ゴール、評価方法、期間を考えること。
・必ず何かしらの学習理論をひもづけること。ただし、アドバンスグループはベーシックグループが思いつかないような学習理論を使うこと。

◆出てきた案(ざっくり)と理論名(*)
・ベーシックグループ
IDの「入口と出口」を明確にし、1年目〜3年目までの達成目標を明確化。
本部で一部教育とチェック機能を補完し、基本はOJTで学ぶ。

*経験学習
ダブルループ学習
*状況的学習
*足場かけ
*完全習得学習
正統的周辺参加

・アドバンスグループ
1年で15人中5人を店長にする。そのために、配属先店舗で
いいとこみつけをし、マネジメントスタイルを学ぶ。
数ヶ月ごとに複数の店舗を周り、経験&リフレクションをして
さらにマネジメントスタイルを学んでいく。
そして最後に、新人同士の寿司屋をトライアルで出す。
主体的に、自分たちで解を見つけて探させる。
そうすることで、コストもかからず、現場への負荷もかからない。

*経験学習
*状況的学習
*社会的構成主義
*ジグソーメソッド
*足場かけ

◆なるほどーと思ったこと
・ラーニングセオリーマップはヨーロッパ的。ガニエも入っていない。アメリカの人が作っていたら、また違うマップになっていたと思う。このマップは完成系ではなく、「ならばどこに入れるといいか?」を考えながら使うとよい。

・ガニエは学習目標を5分類にわけた。今日の目標は「知的技能」。
https://www.knowledgewing.com/kw/blog/2010/09/201009281628.html

・理論からアイデアを落とし込むより、アイデアを考えてその裏付けとして理論を紐づける方がよい。

・「Aを説明するには、Aでないことを説明するとよい」

・人によって成長スピードは異なる。そして、全員が本当に店長になるべきなのか、寿司職人が必ずマネージャーにならないといけないのか、前提を疑うこと。

-----------------------------------------------------------------------

いや〜、アドバンスグループが出した模擬シラバス
とても自分たちでは出てこなかったな〜。
越境学習の効果ってこういうとこなんだろうね。

そしてアンラーニングは続く。